やまなしの川とクランボンの涙
宮沢賢治さんの『やまなし』の
絵本を読み聞かせた後、息子との
会話を元にから考えました。
やまなしに出てきたキーワード
を使ってお話をしました。
やまなしの世界へ
今日は宮沢賢治さんの 『やまなし』 を読む日。 パパは絵本を開いて、さっそく読み始めようとしましたが――
「ん? なんだか、お話が前に読んだときと違うような……。」
そう思った瞬間、ページの中から まばゆい光 があふれ、気づけばパパたちは 『やまなし』 の世界に吸い込まれていました。
「うわーーーー」 「本の中に入った……? 夢……なのか?」
XXくんもキョロキョロと周りを見回し、服の袖を握りました。
「パパ、本当に絵本の 『やまなし』 の世界なの?」
頬に触れる風は少し生暖かく、木々のざわめきがかすかに聞こえます。 川辺には、菜の花が群れをなして咲き誇っているものの、その黄色が異様に濃く、まるで光を吸い込んでいるようでした。 風が吹くたび、桜の花びらがゆっくりと舞い落ちますが、水面に触れた途端、まるで何かに引き込まれるように音もなく沈んでいきます。
「なんだか……変な感じがするね。」
そのとき――
川の近くまで歩くと、水の中から小さな泡がぷくぷくと浮かび上がりました。
「ねえパパ、何かいるよ!」
XXくんが指をさすと、水の底から小さな子蟹たちがぴょこぴょこと顔を出しました。 最初は警戒していた子蟹たちも、パパたちの顔をじっと見つめると、安心したように近づいてきました。
「ねえ君たち、ちょっと聞いてもいい?」
一匹の子蟹が話しかけてきました。
「クランボンの様子が最近おかしいんだ……。何か知らないかな?」
「前は明るくて、いつも楽しそうにしてたのに……。」
「ここ最近、どんどんどす黒くなって、僕たちに嫌がらせをするようになったんだよ。」
パパとXXくんは顔を見合わせました。
クランボンに何が起こったのだろう? その謎を解くため、パパたちは子蟹たちに案内され、クランボンがいる場所へ向かうことにしました。
変わり果てたクランボン
川の奥へ進むと、ひときわ水が濁っている場所がありました。 淡い朝日が川面に差し込んでも、そこだけは黒くよどみ、不気味な影を落としています。 水面にはゴミが漂い、ところどころ泡が立ち、静かな朝の空気に異様な気配が漂っていました。
「パパ、ここ……なんだか汚いね。」
そのとき、川の中から 黒ずんだクランボン が現れました。 以前は キラキラと輝いていたはずのクランボン。 けれど今はどんよりとした影のような姿になっています。
「クランボン……?」
クランボンはパパたちを見るなり、ピシャッ! と水をはねかけてきました。 子蟹たちは怖がって後ずさりします。
「やっぱり、前とは違う……。」 子蟹が震えながら言いました。
そのとき、パパはふと気づきました。 「この川の汚れのせいかもしれない。」
クランボンが変わってしまったのは、川の水が汚れてしまったから かもしれません。 XXくんもそのことに気づき、パパの袖をぎゅっと引っ張りました。
「パパ、川を綺麗にしてあげよう!」
川のお掃除作戦!
パパたちは川のゴミを拾い始めました。 木の枝や、どこからか流れてきたビン、袋の切れ端……。
「ゴミがこんなに……。」
すると、その様子を見ていた 川の近くの人たち がやってきました。
「君たち、何をしているんだい?」
「この川を綺麗にしないと、クランボンが元に戻らないんだ!」
XXくんが一生懸命説明すると、人々は頷き、手伝ってくれることになりました。 みんなで力を合わせて川の掃除を進めていきます。
すると――
遠くから一羽の鳥が飛んできました。
その羽は青く、陽の光に照らされると、まるで宝石のように輝いています。 翡翠(かわせみ) です。 川がお掃除されていく様子を見守っているように見えました。
かわせみに目を奪われていたその時、また空間が歪みました。
「わーーー、どうなってるんだーー」
やまなしの川
気がつくとまだ絵本の中のようです
でも以前より空気は澄みきり、肌を刺すような冷たさ が広がっていた。 川の流れは静かで透き通り、底の小石までもはっきりと見えます。 その岸辺には、雪のように白いスイセンが咲いているのが見えます。
「あっ、川をお掃除してくれた人たちだ!」
子蟹たちがパパたちに気づき、嬉しそうに集まってきました。 口々にお礼を言ってくれます。
「お掃除やってよかったよ」 XXくんは微笑みながら言いました。
そこへ、ふわりとやまなしが流れてきました。 甘い香りがあたりに漂い、子蟹たちが嬉しそうに集まります。
「やまなしが流れてきた……。」
XXくんが やまなしに手を伸ばそうとしたその瞬間――
突然、まばゆい光 があたりを包み込みました。
もとの世界へ
気づけば、パパたちは もとの世界 に戻っていました。
XXくんの手には、ほんのり やまなしの香り が残っています。
窓の外を見ると、静かな冬の夜。 遠くの空には、冬の星が小さく瞬いています。
「ねえパパ、はやく『やまなし』 読もうよ!」
XXくんの笑顔を見ながら、パパはうなずきました。
パパ:お掃除していた季節は?
パパ:やまなしが流れてきた季節は?
パパ:絵本のやまなしと今のお話の両方に
パパ:出てきたのは?
息子に読んであげた絵本のやまなし